【ネタバレ】オッペンハイマー (2024)感想

2024年10月28日月曜日

映画

「オッペンハイマー」(2024)のネタバレを含めた感想です。

わたしは広島平和記念資料館(原爆資料館)や原爆ドームに行ったことがありますし、被爆体験証言者(語り部)のお話を聞いたこともあります。一方、まだ長崎を訪れたことはないため、いずれ行きたいとは思っているのですが機会がなかなか…。

まずこの映画「 オッペンハイマー」は【広島・長崎に落とされた】原爆の開発者ではなく、【世界を滅ぼす】原爆の開発者を描いたもの、というような気がしました。物語の終盤は苦悩するオッペンハイマーが描かれていますが、これも「広島・長崎で虐殺を行った原爆を作ってしまったこと」ではなく「世界を滅ぼしかねない原爆を作ってしまったこと」への罪の意識、というようにも見えました。この認識の違いは埋めがたいというか…かなり大きいと思います。

広島・長崎の被爆描写がないことについて批判がありましたが、確かに直接そのものを描写するシーンはなかったです。ただ広島・長崎に関するシーンはないのかというとそうではなく、「広島・長崎」を具体的に挙げておびただしい犠牲者の数や今後長期に渡る放射能汚染に言及するシーンなどはありました。またオッペンハイマーが被爆者の幻を見る祝賀会のシーンでは、その場で響いている大歓声は悲鳴や苦悶の叫び声にも聞こえるようになっていたし(錯覚じゃないですよね?)、涙を流す人は嬉し涙にも恐怖の涙にも、吐いてる人は単なる酔っ払いにも罪の意識に苛まれる人にも見えました。なので原爆の犠牲を描いていないということはないですが、これらの描写では不十分であるとかアリバイ作りとか言われても仕方ないとも思います。

あとクリストファー・ノーランがCG嫌いなのは別にいいんですが、世界を滅ぼす原爆の炎がこれまたしょぼい特撮で「なんだか大きめの炎だな」程度にしか見えないので、 そこはウソでもいいので悲惨さを強調する絵を作ってほしかったなと思います。そして3時間は長すぎ…。クリストファー・ノーランはもうちょっと映画館で見る人の気持ちを考えてほしいです。このままだと4時間だろうが5時間だろうが平気でやりそうなんで、早く誰か止めてください。