トラペジウム (2024)のネタバレを含めた感想です。
アイドルになるというギラギラした野望に燃える女子の栄光と挫折、そして復活の青春ストーリー、という感じかな。元・乃木坂46の方が原作者ということはまったく知りませんでした。予告編は絵があんまり惹かれなかったのでちゃんと見てなかったせいか、そこまで「ギラギラした野望」というのは感じなかったので、見に行ったのは完全に何かの直感でした。
冒頭に書いた通りの青春ストーリーというところはまったく外していない一方、主人公が狂気的とも言える野望に最初から取り憑かれているため、好感度がほぼないどころか下がるばかり。最終的には自身の野望に飲まれてしまって夢敗れるというのも、そういった筋からは外していないと言えるかなと思います。
ただ、周囲のキャラクターが生きていない。そのシーンのために用意された書割になってしまっている。特に顕著なのがくるみちゃんで、アイドルになるのに抵抗があってロケを黙ってすっぽかす、面と向かって弱音を吐くなど、途中に何度もSOSを出していたのに、最後にわざわざ事務所に来て発狂してたのは、その発狂シーンしたかっただけだろ…とちょっと冷めてしまいます。無理して事務所に来たけどやっぱ限界で発狂した、と好意的に見るのは、いやいやあなた以前無理せずロケすっぽかしてたでしょ…と前のシーンが影響しているので無理があるし…。
そしてラストの集合写真、車椅子の子がまるで「消しゴムマジック」みたいに消えてたのもどうかと…。同じ構図ではなく、せめて別の構図の集合写真ならそんな不自然感はなかったのになと思いました。
こういう狂気と挫折の物語は大好物なので、もうちょっと練ってあればもっと良い作品になったのに、と惜しいです。
あと、最後の和解シーンあたりでTSUTAYAのもじりがTAKUYAになってたのは吹いてしまって台無しだったんだよなあ…。