- TV版視聴済
- 設定資料やインタビューとかほぼ見てない
- コミックス版は読了
- 「始まり」と「永遠」も劇場視聴済
- 「叛逆」も劇場視聴済
- 当時は「公式二次創作の蛇足」という評価で、内容をほぼ忘れてた
- 直前のリバイバル上映を見ておけばよかったと後悔
- スピンオフは一切見ていない
- マギレコとかゲームも一切やってない
という状態で観てきました。そのため解釈違いとかあると思うけどご容赦ください(多少は調べましたが)
| 2012年10月も遠くになりにけり |
感想
正直期待外れ。13年も経ってなんでまた公式二次創作で蛇足をやってるのか…まあ商売なら仕方ないのかな…という感想でした。だいたい、15分くらいの劇場CM終わって消灯して、いよいよ本編!と思ったらExedraのCM入れるし…。
大筋としては「悪魔は神に勝てない」「何も進展も解決もしてない」「結局のところ、これは夢オチでは?」という感じで、別に「廻天」というサブタイトルで示されるほどのすごいことは起きず…。
「叛逆」は先に書いた通り、劇場で観た当時「これは公式二次創作、蛇足だなあ…」とがっかりして、内容をすぐ忘れてしまって今はっきり覚えてないんだけど、「叛逆」のほうがまだ新しいことは起きていたし、確かにサブタイトル通り「叛逆」していたと思う。
まず定義
ちょっとややこしいので感想に進む前に用語の(オレオレ)定義をしておきたい。
- 「TV版世界」
- 魔法少女と魔女が存在する世界。
- TV版の最後でまどかが神になり「魔女が存在しない世界」に書き換えた。
- 「叛逆世界」
- 魔女の代わりに魔獣が存在する世界。
- ただし、実際の「叛逆」劇中ではほとんどが偽りの世界。
- 「ナイトメア」も偽りの世界のみの存在。
- 叛逆の最後で悪魔ほむらがまどかの記憶を奪い、世界を書き換えた。
- 「廻天世界」
- 魔女の代わりに魔獣が存在する世界。
- 本編の舞台。
登場人物
まどか
タイトルロールではあるが、相変わらず主人公ではない。ほとんどの登場人物から愛を向けられているにも関わらず、「叛逆世界」において記憶を悪魔ほむらに奪われたためなのか、「TV版世界」とは別人の空疎な存在に見える。そもそも登場シーンや台詞もそんなに多くなく、正直なところ影が薄い(なお私はまどか推し・おいちゃん(悠木碧)推しです)。
例えば、大量に運ばれてくるスイーツを前に戸惑っている紫丁香(※新キャラクター、後述)に対して「残していいんだよ」なんて、「TV版世界」ならそんな安直な救済の言葉は絶対言わないと思うんだけど、これは解釈違いで済ませていいのだろうか。その紫丁香もそのあたりで「何なんだお前らは、(魔法少女がつるんで仲良くするなんて)解釈違いだ!」といった感じで怒っていたので、ご都合かどうかはともかく、意図的の可能性はあるが。
それはそれとして、結局のところ「ほむらとお別れ」という話の結末は変わらなかった。これが最大の不満。直接の続編であるのは間違いないのだけど、全然「廻天」(形勢逆転)はしていない。「TV版世界」の最後・「叛逆世界」の最初にまで戻っただけ…といった感じかなあ…。
ほむら
相変わらず真の主人公。なんだけど、能力がよくわからない。悪魔の力、と考えたらいいんだろうか。銃器も使わず、時間操作もしてないように見えたけど、「廻天世界」ではそんなものは必要なく、悪魔の力を行使すればほぼ敵なしに見える。そのため、話の緊張感が削がれているような…。
アバンタイトルで描かれた「トカゲさん電話」は意味ありげだったけど、劇中ではほとんど出番がなかった。「魔法少女ではない者を魔獣と戦わせている」という行動も「魔法少女の否定」を意図しているのかと思ったけど、それも序盤だけで劇中の本題にあまり関係がなかったような…。絶望からの魔女化の阻止? いや「叛逆世界」〜「廻天世界」に魔女はいないはずでは…? なんかよくわからなかった。
「渦中にあってもあまり語らない人」というキャラクターは一貫しているので、今回も情報をあまり開示してくれず、「まどかのため」ということ以外、何を考えているのかよくわからない。
それはそれとして、「まどかとお別れ」という結末は変わらない。最後は意味深な演出なので断言はできないが、「まどかと一緒にいた」というのは夢だった、という夢オチ解釈もできるように見える。最後のほうで「AWAKE」(目覚めよ、か?)という文字が並んでるシーンがあるが、誰に対する言葉なのかは不明。夢だったのがどれだけの範囲なのか、「廻天世界」全部なのか、最後に勝利を得たという部分だけなのか、意図的に描写を避けたと思われるが、はっきりとはわからない。
エンドロールでの「二人で歩いていたが、途中でまどかは離れていき、ほむらは(それに気がつかず、または、たとえ離れてしまったとしても)一人で歩き続ける」という足跡の表現があった。「叛逆」のエンドロールでは、二人でずっと走っていく、という描写だったのを記憶しているので、それと対比させているようには見える。なお、他にも多くの足跡の種類があるため、意味の推測は難しい。
さやか
「まどかの親友」というキャラクターが押されているのだけど、肝心のまどかがあまり出てこないので、いないところで一方的に思いをたぎらせてる感が強い。反面、ほむらとよく一緒にいて「この世界はおかしい」と何度も訴えかける役回り。
さやかはTV版でも「闇堕ちする主人公」といった立ち位置でかなり扱いが大きく、「廻天」でもその感じは踏襲されているように思う。…けど、後半で急に葛藤への解答を提示されるので、ちょっと消化不良を感じた。とはいえ、その消化不良には目をつぶると、「廻天」では挫折から闇堕ちせず、精神的な成長に至るところなど、(この世界では)報われたなぁ…よかったね…といった感想。
あと初出らしい包帯グルグル巻きの魔法少女姿がめっちゃかっこよかった。「TV版世界」における「影の魔女」との戦いで負った傷を彷彿とさせるけど、どうしてそうなったのか具体的な説明はなし。「廻天世界」に魔女は存在しないので、影の魔女との戦いもないはずだが…。また、普段の姿では包帯は巻いていない。
ただ、「叛逆」で呼び出せていた「人魚の魔女」は、「廻天世界」では包帯がほどけるまで現れなかった。すなわち包帯グルグル巻きの姿は、記憶の封印や改竄を象徴したものなんだろうか? そこらへんはっきりした言及がないので非常にややこしく、「TV版世界」→「叛逆世界」→「廻天世界」と世界が書き換えられているが、個々人の深層には変わらない・変えられないモノ(魔女との戦いなど)があり、さやかはそれに気がついていたゆえの立ち位置というような描写なのかなあ。
それと剣の造形がかなり細かく、豪華になってたような気がする。部屋番号は「404」(Not Found? 何が見つからなかったのか?)
杏子
相変わらず武闘派なのでバトルシーンだいぶ優遇されてる。TV版では強がってたイメージがあるけど、この世界では精神的にもかなりの強者に見える。
さやかがほむらに絡んでいることが多いため、劇中では後述の紫丁香に絡んでいることが多く、結果として出番もかなり多い。ただ、「一人ぼっちは寂しいもんな」を変奏したシーンは、紫丁香がかなり弱いので、いまいち盛り上がりに欠けたかなぁ…。
マミさん
個人的には「渦中にいるのに真相に関与できないキャラクター」という立て付けで見ているので、物語の中心から微妙にズレた言動をしたり、そのせいか出番がちょっと少なく感じる。多分、狙い通りなのかなと思う。
そんなわけだから「とってつけたようなティロ・フィナーレ」みたいな感想をちらっと見たけどそう受け取られても仕方ないような気がする。でも演出としても意図的なんだろうなぁという見解です。
なぎさ
ごめんw 存在を完全に忘れてたw あなたどういう人でしたっけ…。
紫丁香(初出の魔法少女の一人)
あなたは一体何者? 初出の存在らしい。説明不足だなぁと思ってたら、急に説明をドカンと入れてきてすぐ実質的に出番が終わってしまうので、一体何だったのか感が強い。
まどか項で挙げた「大量に運ばれてくるスイーツを前に戸惑っている人」がこの紫丁香。このお茶会のシーンは、それでなぜ戸惑っているのか、なぜ「残していいんだよ」と言われて怒ったのか、というのを通してこいつは何者なのか、とわざわざ回想ないしは脳内イメージで説明している感じで、ちょっとダレたかなあ…。
また杏子戦は、エフェクトかかってる声で何を言ってるのかほとんど聞き取れなかった。精神的にも弱いような感じだったので、はっきり言って杏子の敵ではない。
セルマ・テレーゼ(初出の魔法少女の一人)
あなたも一体何者? 初出の存在らしい。こっちも説明不足だなぁと思っていたら、こいつは紫丁香と違って、「自分は役立たずだから、宇宙の寿命を延ばすキュゥべえの計画に身を捧げることで、役に立ちたい(大意)」という旨をベラベラしゃべってしまうので、かなりの興醒め感が…。
終盤はこいつとの戦いなので、なんでこんな小物がラスボスに…という感じ(実際はラスボスではないが)。今回マミさんのティロ・フィナーレを喰らった人。
また、なぎさがトドメを刺す際に「役立たずのままでいろ(大意)」と言ったのは、「役に立つか立たないかが人間の価値じゃない」と言いたかったのか、「役立たずが背伸びしてもロクなことにならないから役立たずのままでいろ」と言いたかったのか、どちらにも取れるんだけど、さやかが離脱したとき、なぎさはわざと怒らせるような煽る態度で叱咤していたので、それを踏まえると「役立たずのままでいろ」という言葉は表向きで「それが人間の価値じゃない」という意図があったように思える。でも、ソウルジェムを破壊してトドメは刺すんだよね。
名前のない上級生/ワス/マルグリート
ほむらの顔をした名前のない、(奇行癖のある)謎の上級生として登場。「ワス」はエンドクレジットのみに表記され劇中では呼称されていなかった。「ワス」といえばFF11の召喚士専用の杖。ウェールズ語で「召使い」を意味するそうだけど(ちょっと綴が違うが)、じゃあ何の「召使い」なのかというと、よくわからないが自身の意思で行動していたとしか取れないので、別の意味の「ワス」なのかもしれない。
まどかのことを「マルグリート」と呼んだり、他人の下唇を引っ張って歯茎を露出させたり、その他にも物語の進行に特に寄与しないような、意図のわからない奇行多し。芝居がかった台詞回しも多く、本物のほむらと違った方向で、全体的に言動の理解が困難な人。
名前のない上級生は「ワス」だが、「ワス」は大昔のマルグリートなる存在と単純な同一人物ではない模様(ややこしい…) 。どうやら呪いに名前を与えることで、「魔女」という存在を作り出したのがそのマルグリート。そしてその記録が魔女図鑑として残った。魔女図鑑は「宇宙の外側」にあるため、世界(≒宇宙)の書き換えの影響を受けず、魔女の記録が消えることもなかったらしい。
そこから時代が下って「廻天世界」に現れたのがワス(名前のない上級生)。ワスは「まどかへの強い憧れ」という点でほむらと自分を重ねたため、ほむらと同じ姿になったようなことを言っていた。
紫丁香とセルマ・テレーゼと徒党を組んでいるが、単純に「廻天世界」に同時に現れたので一緒にいる以上の説明が私にはできない。ワス自身の(奇行含む)行動自体も行動原理も私はうまく説明できない。そもそも途中で急に(衣装と一緒に)キャラが変わったように見えた。
キュゥべえ
相変わらずこいつは…という感じなんだけど、「廻天世界」では蚊帳の外にも感じる。事態の傍観者といったような立ち位置。宇宙を維持するエネルギーのことしか頭になく、それらしいことを口にはするが「TV版世界」のように大きく事態を動かそうとはしていない。
途中で斬り刻まれてたけど当然ながら死なない。「叛逆」の話だけど「わけがわからないよ」と言って爆死したのは(死なないが)、公式がミームに乗っかってるように見えて、これが特に「叛逆は公式二次創作」という評価の理由の一つ。
ビジュアル
人体写真のコラージュや目や唇をモチーフにした異常な背景や小物を映しっぱなしにしたり(ワスがまどかとほむらの下唇を引っ張って歯茎を剥き出しにしてたのは一体何を目的に?)、生理的嫌悪を強く感じさせる、アヴァンギャルドなシーンが多い。
紫丁香とのお茶会ではファンシーな見た目のスイーツのすべてが汚い。杏子のせいではないが、食べ散らかしてるように見えるし、血肉が飛び散っているようにも見える。これは意図的にそう描いてると思われるので、汚いのが悪いと言っているわけではないが。
セルマの遊園地も同様にポップな見た目なのに、まどかの魔法少女服を着たクマの着ぐるみに物をぶつけるゲームなど、かなり不気味で陰惨。これも意図的だろうから不気味で陰惨なのが悪いと言っているわけではないが。
「廻天世界」はこれまでとは別物なので意図的なのか、13年も経てばタッチが変わって当然なのか、受け手の感性が変わってしまったのか……。「TV版世界」は例えばTV版1話冒頭、幕が上がるところなど「演劇」を思わせるモチーフが多かったと思うので、それそのままで出てくるおなじみの人魚の魔女や舞台装置の魔女(ワルプルギスの夜)が、他のビジュアルから逆に浮いているように見えた。
一方で、技術の進歩のためかさらに無機質になった都市の風景、学校以外でモブがまったく描かれない世界や例のバス停など、おなじみで懐かしい風景やシーンがあった。
物語
「魔女の起源」とか「宇宙の外側」とか、そういった新設定を出されても、それらによって物語が強力にドライブされるかというと逆に停滞してたように思うので、「こちらは設定を知りたいわけじゃないんだけどなあ…」という感想。
わりと長いそれらの設定開示シーンや、ビジュアル項で述べたアヴァンギャルドなシーンで尺を取るくらいなら、もっと話を進める方向に使ってほしいと思ってたら、エンドクレジットで脚本協力イヌカレーで、実際はどうだったかは不明だけど、設定やアイディアをコラージュして作った物語、と見れば納得感がある。
楽曲
あんまり印象に残らなかったかなあ。一部、メインテーマ(と勝手に思っている「Sis puella magica!」)のモチーフを少しずつ使ったような曲が終盤にあった気がする、くらい。
予告で知ってたけどエンディング主題歌がKalafinaじゃなくてFictionJunctionだったのも、まあもろもろの経緯からしょうがないとはいえ残念すぎる。ごめんだけど、そのせいで余計に二次創作感が…。あとオープニング主題歌なし、というのも…。まったく根拠ないけど邪推すると「ClariS起用するなら当然Kalafinaもセットで起用すべきなのに、何でしないの?」という批判がありうると予期して巻き添えで外したんなら、輪をかけて残念だなあ…。
改めて感想
TV版はもちろんのこと、たとえ蛇足という評価をしている「叛逆」も、誰もが満足する結果は得られなかったかもしれないけど、システムの破壊を試みたところを個人的には評価してる。私は作者でも登場人物でも、理不尽なシステムを維持しようとする物語は嫌いです。
それを言ったら「廻天」も最後の最後にシステムの破壊を試みようとしていたか…まあTV版も「叛逆」もシステムの破壊企図は最後の最後だし…でも「廻天」はそのサブタイトルに反して、破壊を試みたが失敗し、物語としては進展がなかったどころか、「叛逆」よりTV版の最後のほうに戻ってしまっていないか? というのがしっくりくるかなあ…。
だからこそ続きは作れるかもしれないけど、いやあ、どうなのかなあ…。「廻天」をビジネスで作ったんなら、またビジネスで作られるかもしれないけど…。ビジネスは悪いことではないですが、13年かけての物語の足踏みは許されないです。次やるにしてもさすがに今さら絶望の終わりにしたら非難囂囂になりそうなので、希望の終わりにするしかないと思うんだけど…その路線で着地させられるんだろうかなあ…。